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"La Japana Budhano" n-ro 328 (2005)

インド仏跡巡り

山本 修

あるお寺さんが計画されたインド仏跡巡りに参加させてもらった。期間は2005年2月12日(土)から2月19日(土)の8日間。この時期インドは乾季(他に雨季と暑季がある)で、朝夕は肌寒いが日中は暖かく旅行には好適である。インド国内の移動は主に専用バスによるが、バスが目的地に着くと乞食や押売りが寄ってきて帰りまで付きまとうのには閉口した。

インドはコントラストが強烈である。カーストによる貧富の差、身分の差。寒暖の差。都市と田舎の差。都市ではものすごい人、家、牛、犬、乗り物、ゴミで一日中埃っぽい。一方、田舎では長閑な風景が広がる。インドははまる人と、嫌悪する人に分かれるというがそうかもしれない。

2月12日(土) 1日目

関西空港からデリーへ。デリー泊。

2月13日(日) 2日目

ナーランダー仏教大学跡見学 → ビンビサーラ王牢獄跡見学 → 霊鷲山(リョウジュセン)登頂参拝 → ラージギル泊。近くにインドでは珍しい温泉あり。霊鷲山は釈尊が最も多く雨安居の時期を過ごされ説法された所で、山頂の岩が鷲に似ているのでこの名がある。山頂で讃仏偈を全員で読経する。夕日を正面に厳かな雰囲気が漂い感動。参道は舗装工事中で、セメント用の水を桶に入れ、頭の上に載せて運ぶ女性たちに出合った。日本では考えられないのんびりした作業風景である。

2月14日(月) 3日目

竹林精舎 → 世界最古の轍跡見学 → スジャータ村見学 → 尼連禅河(ニレンゼ ンガ)を徒歩で横断 → ブッダガヤ泊。轍跡見学後、予定のルートが橋の工事で通れないので田舎の凸凹道を走ることとなった。途中トイレ休憩があったが男女別れて青空トイレ。インドでは何の違和感もない。スジャータは釈尊が苦行を止められたとき乳粥を供養した村の娘さん。スジャータ村は小さな村で畑の畦道を辿っていくと小さな祠があり、スジャータが祀られている。所々に牛糞が丸い煎餅のような形にして天日に干してあるのを見かけた。燃料にするそうである。尼連禅河は大きな河だが、乾季で水が流れていないので徒歩で渡る。河原ではイスラムの生徒がボール遊びをしていた。因みにインドで一番多いのは勿論ヒンズー教徒で82.6%、二番目の多いのがイスラム教徒で11.4%、仏教徒は0.7%にしかすぎない。

2月15日(火) 4日目

ブッダガヤの大塔参拝 → 金剛宝座参拝 → バーラーナシー泊。ホテルでインド舞踊鑑賞。ブッダガヤは釈尊が大悟された聖地で参拝者が大変多い。大塔背面の西壁間近に金剛宝座と菩提樹がある。そして釈尊はこの金剛宝座で大悟された。何年か前にオームの麻原彰晃がその上で坐禅をしたた め大問題となった。以後その回りは石の柵で囲われ幕で覆われているためわずかな隙間からしか拝見できない。残念。2回目の讃仏偈読経。


2月16日(水) 5日目

ガンガー河の沐浴見学 → サールナート参拝 → アグラー泊。ヒンズー教徒にとってガンガー河の沐浴は最大の願い。ガンガーの聖なる水で沐浴すれば、すべての罪は清められ、ここで死に遺灰がガンガーに流されれば、輪廻からの解脱を得るという。堤防がガートという階段状になっていて、そこを下りて河の中へ入る。数十のガートが並んでおり、一部のガートは火葬場でもあり洗濯場でもある。沐浴する人や中洲まで泳いでいく人もいる。われわれが早朝小船に乗って河から見学していると、物売り舟が寄ってきて、河に流して供養するためのろうそくや魚あるいはみやげ物を売りにきた。見学する舟と物売りの舟でごったがえす。サールナートは初転法輪の聖地。広大な敷地に搭や寺院が見える。

ムルガンダ・クチ寺院に入ると、日本人画家・野生司香雪(ノウスコウセツ)が描いた仏伝画が壁面を飾っている。3回目の讃仏偈読経。考古学博物館には初転法輪像やアショーカ王石柱の頂上にあったライオン像など有名な展示品がいっぱい。


2月17日(木) 6日目

タージマハール → アグラー城 → クシナール博物館 → デリー泊。タージマハールは大理石と宝石でつくられた宮殿(実は巨大な墓)で世界遺産。遠くから見ても、近くで見ても実に美しい。アグラー城は赤茶けた大きな城砦だが、時間が無く入口で帰る。博物館の展示品はどれも歴史的にも美術的にも価値の高いものばかりだが、建物が粗末でもったいない。インドはどこでもそうだが、観光整備を充実させれば現在の何倍もの観光客が訪れるに違いない。


2月18日(金) 7日目

インド国立博物館見学 → ガンジーの慰霊碑参拝 → クツブ・ミナール塔見学→ インド門参拝。インド国立博物館では釈尊の御遺骨を拝見できたことはうれしかった。館内はインドの古代から近代までの至宝が展示されていて、一日いても飽きることが無い。ガンジーの慰霊碑の近くでチベットの僧が五体投地の礼拝をしていた。なかなか大変な修行である。インド門は第一次世界大戦の戦死者の慰霊碑。


2月19日(土) 8日目

前日の深夜デリー空港から大阪へ。機中泊。


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